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羽田を発つ前に

最近早起きの練習をしている。そのせいか先週の日曜日は夜9時半からラジオを手にすでにウトウト。はっと目を開けると懐かしい声が聞こえてきた。何時だろう?
.......

南回りのオープンの切符を持っていた。空港に行く前に昭和女子大に向かう。ここは数日前Barbaraが公演をした人見記念講堂がある筈だ。
すでに原稿は出版社の手に渡っている。在仏中にそれは出版されることになっている。別の出版社から連作が一気に出ること、しかもある賞の受賞も決まっていたが、オイルショック、紙の高騰で流れた。出版社と打ち合わせも数回したし、ある程度のレイアウトも決まっていたのだが。
でも私の連作の一部が昭和史の証言という3冊セット本の第一巻の中に掲載されることが直前に決まった。昭和史の中の戦後という時代を生きた青春の記録のひとつとして。

B「ここが先生のお部屋ですか」
O「女子大はね、こんなことをするんだよ」
ドアのすりガラスの真ん中が丸く透明で、部屋の中が丸見えなのだ。立教大の大場助教授事件のせいだろうか。
そこへ女子大生達が2,3人、軽井沢のお土産を持って、部屋に入ってきた。
O「この人はね、素晴らしい作品を書く人だよ。Bruxellesさんです」
O先生が御自分の学生達に私をそう紹介してくださってビックリ。女子大生達は私を熱い憧れの瞳で見つめる。
O「今から単身Parisに出発する、その挨拶に来られたんだよ。もうすぐ作品が出版される。君達もこの人からいろいろ学びなさい」
女子大生達の瞳の熱気がさらに上昇する。

O「このまままっすぐ、羽田に行くのかい?」
B「はい。いい取材をしてきます。何もかも未定ですけどね。」
O先生は、校門より少し外、歩道橋の近くまで見送って下さった。

羽田に着いたら、搭乗口のドアが閉まって飛行機が動きかけていた。ドッと冷や汗が出る。大声を出しドアをたたいた。
これからBruxellesまで、砂漠の上を飛んで、30数時間もかかるのだ。

仕事、人間関係、やりかけていたこと、すべてにピリオドを打ってX軸もY軸もゼロの心境だった。もう関係は破綻していたけれど、それでも前日Gribouilleに会いに行った。
G「これを持って行きなよ」
Gは引き出しから、ある物を取り出し、それをくれた。
B「要らない」 G「要るかもしれない」
B「必要ない」 G「必要があるかもしれない」
Gが何故引き出しに、こんなものを持っていたのだろうか?何かの冗談に違いない。

夕方、まず香港に着いた。長い旅が始まる。
...............

明日24日の日曜日、NHKラジオ第2放送で午後10時20分から11時まで、先週の続きの放送がある。タイトルは「私の日本語辞典ー花と言葉の文化史(4)」
その放送に「帰ろう愛の天使達」を、社会思想社刊、昭和史の証言(青春の記録ー1)の中に編纂して下さった文芸評論家、小川和佑氏が出演される。
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一人異国に来た頃(1)

Au Printempsだったか、Parisのデパートに初めて布を買いに行った。シーツ代わりにするためだ。いかにもラテン系のおじさんがどこからともなく出てきて接客する。
「これにしますか。はいはい」
私がこれにすると言ったのに、おじさんはその布を私の手から取り上げて「ついておいで」と言う。そしてここに並んでお金を支払えと言う。布はおじさんがどこかへ持っていってしまった。レジでお金を支払ったのにレシートしかくれない。現物はおじさんが持ち逃げした。ペテンにあったと一瞬思った。おじさんはデパートとは何の関係もない人だったのだと。
「こんなレシートではなく、現物が欲しいんですけど」
と言うと、レジ係らしき人は、あっちに並べと言う。
騙されたのではなく、それがParisのデパートの販売システムだと気づくまでに数分を要した。気分の悪さは数時間残った。

街角の公衆電話からサビーヌに電話しようとダイヤルを回した。うまくつながらない。何台目かの公衆電話で(つまり今までの数台は壊れていた)ようやく繋がった。「もしもし」と向こうの声がする。男の声だ。サビーヌのお兄さんだと直感した。
「Bruxellesですけど、サビーヌは在宅ですか?」とか、いろいろ言っているのに、応答がなくしばらくすると切れた。ムッとする。もう一度かけ直す。また同じ。声は優しい親切な声だ。いきなり電話を切る人の声ではない。おかしい。もう一度かけ直す。その頃、ひょっとしたら、こちらから相手の声は聞こえるが、相手にはこちらの声が聞こえないのではないかと、ふと思った。もう一度かけ直す。また同じだ。その時お兄さんがこう言った。
「ひょっとしてBruxellesかい?Bruxellesだったらよく聞くんだよ。ボタンを押すんだ。ボタンを押さないと繋がらないんだよ!」
サビーヌのお兄さん、どうしてBruxellesだとわかったのだろう。電話のかけ方を知らない人・・つまりBruxellesだろうと連想が働いたに違いない。

私はベルギーのモンスからParisの東駅に列車で到着した。その列車の中で、ベルギー人のカトリーヌと知り合い、東駅で「さよなら」をした後、振り返り「自宅の電話番号教えて」と言った。カトリーヌは印象に強く残るほど魅力的な子で、女優になるために、Parisに学校と部屋を探しにいくと言っていた。お父さんは医者。故郷はのどかな過疎の山村だとも言っていた。
盗難にあったTCのリファンドが、すったもんだの末ようやく全額なされたので、ほっとした気分もあり、カトリーヌに電話することにした。
長距離なので迷わず郵便局に行く。2階のカウンターで、相手の番号を伝えると、繋がった時点で、ズラリと並んでいる電話BOXの、何番目に行けという指示が出る。
電話BOXに入り受話器をとる。カトリーヌのお母さんが出た。
「カトリーヌはParisにいます」
「電話番号教えていただけますか」
「○○、××、?? ○○、××、??」
さっぱりわからない。米国と同じで数字をひとつひとつ読み上げてくれると思っていたのに、意表をついて早口で、2桁づつ番号を言う。
「待って待って、もっとゆっくりお願いします」を何度も言わなければならなかった。

盗難のために、予想もしない展開となり、高級住宅街の屋根裏部屋に住みつくことになった。毎夜星空を見ながら、輝く月を見ながら眠る幸運を手に入れたのはいいが、お風呂がない。突き当りの部屋にいるYOUに聞くと、Parisの風呂屋を教えてくれた。大半が個室だ。シャワーだけの個室にした。
ある時YOUが言った。
「君、クレヨンで絵に描いた顔みたいに、あごの下に、顔の輪郭の黒い線があるよ」
なんのことはない、シャワーばっかりだったので、顎の下が全く洗えていなかったのだ!!  (つづく)

行きつく場所まで歩いた人

ユリイカの「シャンソン特集」1982年5月号を見ていたら、諏訪優氏の詩作品「カーニバルの夜」が掲載されていた。最後にVenis,1982,2,21とあるから旅先で書いた作品のようだ。

ひとつの思い出が蘇ってきた。あまり昔なので何年だったかは思い出せない。私はヨオコさんと二人でその時諏訪優氏の自宅にいた。何区だっかた思い出せない。同い年くらいの仲のよさそうな奥様がいらっしゃった。にこやかに4人で話した記憶はあるのだが、内容は全く憶えていない。なのに何故思い出したかと言うと、その奥様がお昼ご飯に手料理の「カツ丼」を出してくださったのだ。
支路遺さんや志摩さんの関係から横に広がっていったものだと思われる。
諏訪優氏はアレン・ギンズバーグを日本に紹介した方だと言うのが私の印象として残っている。まず支路遺さんの「他人の街」に紹介され志摩さんの「凶地街」ではギンズバーグ特集が組まれた。そのころともかくギンズバーグは、少なくとも詩に関わる者にとっては、圧倒的な人気があった。美術でいえば、アンディー・ウォーホールに匹敵するほどの人気だった。諏訪さんはどこかの大学で教鞭をとっておられた。勿論ビート・ジェネレーションのアメリカ文学。ヨオコも私も詩を書く以外たいして何もしていない。ただこうしてフラリと東京に来ても、会う人、会う必要のある人は当時一杯いた。

それから何年かたってすっかり皆の生活が変化した頃、諏訪さんがあの奥様と別れてずっと若い女子大生と再婚されたと言う話を風の便りに聞いた。「えぇっ!」信じられなかった。あれだけ仲の良さそうなご夫婦だったのに。何か全然違う風が、その時みんなに吹いたのだろう。それからさらに数年経って、諏訪優氏が亡くなったという話も聞こえてきた。「えぇっ!」

「カーニバルの夜」の副題にーあつみにーとある。あつみ、と言うのは若い妻の名前なのだろうか。1982年から一体何年経って諏訪優氏は亡くなられたのだろうか。

生まれる前の混沌にかえって
さわいでみようか? わたしたち
血のような酒をあおって 抱き合って
迷宮の島
行きつく場所まで歩いてみようか
    ?「カーニバルの夜」ー抜粋

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