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夏別荘物語(エピローグ)

夏別荘物語(エピローグ) 2004年10月22日 (Fri) 18:08:43

マドリッドからリスボンに向かう列車の中だったと思う。一人の男が人形のようなオブジェを抱えて乗り込んできた。日本人の集団を見るとすぐにやって来て何故か私の隣に座った。そしていきなり話し出す。YMのことだ。YMのファンだという。一方的に自分の思いをいささか支離滅裂に投げつけてくる。美術の教師のようだ。私も以前同じようなことをしていた。ホテルの朝のバイキングで暇なときなど、フランス人とわかると、「バルバラはどうしている?」と聞いていた。8回そんな朝があり3回の回答は「頭がおかしくなって入院してるよ」というものだった。「今も元気に歌ってるよ」というのは1回だけ。あとは「さあね、よく知らないわ」・・

サンフランシスコの時点で、KKの恋人は新ちゃんなわけだけれどKKが以前YMの恋人、または恋人の一人だったという噂を聞いていた。堀田さんは「あのおしゃべりなKKが、YMが死んでから一切しゃべらなくなったのは立派だ」と言った。「本当はどうなの?」と聞いたら「僕は証言できるよ」と言った。「GribouilleもKKとYMが愛を交わした帝国ホテルの部屋へYMが帰ってから、友達と遊びにいってる筈だよ、何回か」とも。
YMがあまりにも劇的な死に方をしたので、心の整理がつかないのかも知れない。私がもしKKなら?当然一切しゃべらない。大事な恋ほど『秘してこそ華』。当然だ。と思っている筈なのに一度魔が差してKKに唐突にズバリ訊いたことがある。「YMって、どっちなの?どんなことが好きなの?」質問があまり意表をついていたので、つられてKKが思わず答えた。
「僕は縛られていた」「きつく?」「きつく正しく」「美しく?」
なるほど。以前モーターボートの試験を受けたとき、ロープの結び方をマスターするのが必須だったことを思い出した。それと「ムルム」の巻頭グラビアとか。勿論好奇心を払いのけて、それ以上、それ以外、それ以後、一切質問はしていない。


交通事故のリハビリは聞きしに勝る辛いものだった。大男が何人かで押さえつけて,曲がらない脚を曲げようとする。涙が吹き出る痛さだ。逃げ回っても押さえつけられるだけ。膝が曲がらないと、自転車に乗れない、和式トイレを使えない、和式のお風呂に入れない、タクシーに乗れない,足の爪を切れない、等不都合はたくさんある。病院のベッドでピーンと突っ張った片足に、ビニール袋にフルーツの缶詰を数個入れて、それをその足にブラ下げていたことがある。痛くて5分ともたない。汗がタラタラ出てくる。あと1分あと1分と歯をくいしばって耐えた。
三田さんが「ポリアンナ物語」を持ってきた。ポリアンナはポジティブシンキングの権化のような女の子。
「痛いっていうのは生きているからだわ。痛ければ痛いだけ,歩ける日が近づくのよ」私もポリアンナになって、同じセリフを自分に何度も言い聞かせた。
退院後もリハビリ訓練は近所の市民病院で続けることになった。まともに歩けない。ヒョッコリヒョッコリ,足を引きずって病院に通う。たった1cmの段差でもスッテンコロリと転倒する。運動不足でブクブク太る。太れば精神まで肥満化する。身体だけでなく心の動きも頭の動きも鈍くなる。

TVの前に寝転んで「徹子の部屋」を見ていた。
その日は山田五十鈴がお客様。そういえば村松英子の前は山田五十鈴が好きだったこともある。着物姿が祖母に似ていたから。この人も一人娘が客死して大変な思いをした筈、などと思いながら。ジュネーブ大学に日本文学関連の蔵書をそっくりそのまま寄贈した、と言う話をしている。
「この方が日本文学科の○○教授、その隣が××助教授」と山田五十鈴の説明。それと共に一枚の写真がクローズアップされた。
少しも太ることなく、少しも老いることなく、画面右側でにっこり笑っているのは「あっ、KK!!」

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MICHEL FUGAIN 「Je n'aurai pas le temps」

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一般向けのKKの著作の一部を紹介しておきます。
「スイス四季暦・春夏」「スイス四季暦・秋冬」:定価1600円
松永尚三(ペンネイム)著:1994年9月:東京書籍刊

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