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おまじない

小学校の2,3年の担任は年配で決して美人ではなかったけれど、心の優しい女教師だった。夫と死別して娘がひとり、乳がんの手術をして片方をとっているという噂を聞いていた。
私が4年生になった時、その教師がおまじないの話を持ってきた。私の喘息をなんとか治せたら、という思いやりからだ。
「わかりました。有難う御座います」
母は早速準備に取り掛かった。かぼちゃ様に紙の注連縄を付けてお供えをし「どうか、病気を持って行ってください」とお祈りをする。それを1週間続けて、その後遠くの川にかぼちゃ様を流しに行く、というおまじないだった。
藁をもすがる想いの私は必死だった。そしていつも確信していた。今度こそ、これで治るんだと。
お祈りしている私のそばで、祖母と兄がブツクサ言っている。
祖母「そんなもので治るんだったら、医者は不要だ」
兄「かぼちゃが人間の願いを聞けるのか」
B「うるさい。家族も一緒に信じてお願いしないと、かぼちゃ様がお怒りになる。そしたら、治してもらえない」

祖母は実家が医者で自分は医者の家から船場の大商人の家に嫁いだと言っていた。調剤用のすり鉢やら薬剤計量用の秤等を持っていたし、耳で覚えたらしい薬剤やちょっとした医学の知識もあったから、そういう環境で育ったことは間違いない。そのプライドもあったためか、自分の孫が馬鹿丸出しでかぼちゃに手をあわせている姿を見て、情けなくかつ哀れでならなかったのだろう。...
母の田舎の姉の勧めで、これに似たおまじないを既に2回していた。母の身内の勧めで、白い装束を着たおがみ屋が祈祷に来たことも既に2度あった。その度に母と祖母は微妙に対立する。
托鉢の巡礼が玄関先で経を読むと「待っていて下さいね」と母は財布を取りに家の奥に入る。その隙に奥から祖母が出て来て「宗派が違います」と追い返してしまう。
祖母はクリスチャンなのだ。と言うより祖母の嫁いだこの家が代々のクリスチャンなのだ。後年私が調べたところによると、曽祖父は百数十年前に仲間3人とキリスト教同心会という教会を建てている。父を含め戦前の一族郎党は毎日曜日に集い、賛美歌を歌い、自宅で講演会もする熱心なクリスチャンだったようだ。
父のいた頃は、貧しいにもかかわらず、祖母の提案で大きなツリーを飾って、近所の子供達を集めて、毎年盛大にクリスマスパーティーもした。今から考えると、それはカルチャーの綱引きだったのかもしれない。

7日目の日曜日が来た。私は熱心にお祈りをしていた。
B「かぼちゃ様を流した後は、1度も振り返らずに家に帰らないとダメなんだって」
祖母「聞いたような二番煎じの話ねぇ。忘れて、振り返ったらどうなるの?」
B「そんなことされたら困る」
そこへ、兄がタッタッタッと入ってきて「エーェィ、コンナモノー!」と言いながら、机の上のかぼちゃ様を、なんと足で蹴り飛ばした!!
B「あっ!!病気が治らなくなってしまう!!ヒェッー!病気が治らなくなってしまう!ギャー!!お兄ちゃんの足もバチがあたってきっと腐ってしまう!!ギャー!!」

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