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メルヘン少年(2)

メルヘン少年(2) 2004年11月27日 (Sat) 17:25:55

ミルクの匂いがした子供は高2になってバンドを組んで、学園祭デビューした。ドラムス担当。親族でもないし行かなかった。そしたらしっかりビデオに録画して「見てくれ」と家まで持ってきた。一緒に見る。終わった後、仲間と肩を組み合って、飛び跳ねている。楽しさ爆発。

その夏は伯母さん達とタイに出かけた。そこでメルヘン少年がちょっとした通訳もしたのだという。小さな象の置物をお土産に持ってきてくれた。

3年生になると「早稲田にいきたい」と言い出した。動機付けはしっかりしてある。私の母の入院、葬儀、彼の祖母の入院、それまでいろいろあったけれど、夏休み明けから、追い込みに入った。彼のためにオリジナル問題集を作成。素材のひとつはウォルフレンの「The Enigma of Japanese Power(日本国家権力構造の謎)」。生徒が訳をほしがるのは経験上知っているので、訳を付けて出題する。日本語にしてノートに写す時間の無駄を省くためだ。答えられない問題は、日本語訳を見ても答えられない。そういう出題の仕方をする。素材のもうひとつは松岡洋佑大演説集より、松岡全権のジュネーヴ及びサンフランシスコにおける演説。このテクストは国会図書館から借りて、コピーして,これを素材にオリジナル問題集を作った。クリスマス以後は早稲田の過去問、いわゆる赤本をする。英語を正しく学習すれば、ついでに国語力もつくように、問題を解くだけでなく、赤本にもオリジナル問題を付して思考訓練もさせる。
地理は本人に任せておこう。大体の心づもりは出来ている筈だ。

年が明けて「関学に受かりました」とおばあさんがやって来た。「銀行からお金を出して振込みに行こうと思うのですが、あの子が、振り込むなと言うんです。せっかく合格したのに」・・結局払わなかった。

2月。次は本人が来た。メルヘン少年早稲田大学政経学部現役合格!!よほど嬉しいらしく床の抜けそうなこの家で、30分ほど立って飛び跳ねていた。それから寝転がって、やっぱり30分ほど跳ねていた。狂喜乱舞するとは、まさにこのことだ。彼なりに意を決して頑張ったのだ。そんなに喜べることは一生に何度もない。「おめでとうメルヘン少年」
すると「今日この家で夜を徹して朝まで酒を飲みたい!」と叫んだ!ニベもなく断ってしまった後で、ふと考えた。本物の父や母なら、きっとそうしたに違いない。

春、桜の咲く季節になってメルヘン少年から手紙が来た。
「僕には夢が二つありました。ひとつはオヤジと同じ早大生になること。もうひとつは大人になったらオヤジと肩を並べて酒を飲むこと」・・・
これまでもずっと、今も、これから先も永遠にメルヘン少年には両親がいない。そして私はそれをどうすることも出来ない。

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Jean-Louis Aubert 「Vivant Poeme」
  Text de Jean Louis Aubert :Musique de Barbara

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