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mon amour

mon amour 2004年12月6日 (Mon) 18:39:42

昔、詩集「2N世代」の編集・装丁をしてもらった田中弘子さんから(今から20年くらい前に)久しぶりに電話がかかった。

「・・・ところで、この前朝日新聞に、Bruxellesさんと昔よく一緒にいたJが何か書いていたね、読んだ?」
「えッ、いつ頃の日付?何を書いてたの?」
「1ヶ月か2ヶ月前か。内容はよく覚えていないけど。写真も出てたよ」
「どんな顔してた?」
「どんなって、、、まあ年相応の。またフランスに行ってたみたいね、ここ2,3年」
「ふ?ん。もう何年も会ってないから」
予定通りの道を歩んできたのだろう。学生の時から、語学は趣味じゃない、これは将来の僕の生業(なりわい)なのだと、飛びぬけて真摯な態度で取り組んでいた。私と違って子供の時から今の方向と同じ進路を自分の将来に見据えてきた子だった。ひとつ異変があったとすれば、彼の受験の年と東大入試中止の年とが重なったことだ。それでやむなく京都にやって来た。
「僕は将来TV講座にも出るよ。参考書も書くよ」交換日記にそう書いてイラストまで付けてくれた。それは多分現実となるだろう。彼の父はその昔「百万人の英語」ラジオ講座の講師をしていたらしい。文英堂のシグマベスト解明新英文法という参考書も書いていて、それは私も使ったし、後年生徒たちにも随分薦めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あまり振り返ったことがない。蓋をして密封保存したままできた。弘子さんの電話から10日ほど経って、やはりその新聞を読みたくなって、中ノ島の図書館に行った。朝日新聞を3か月分ほど順番に見ていく。かなり大きな記事だった。マルセル・プルーストの草稿研究をしているらしい。フランスで新しく出るプルースト全集の編集にも招聘されて携わってきたことが書かれている。写真も出ていたが、消したり貼り付けたり、何度も推敲を重ね、書き換え、書き写し・・とても判別しづらそうな自筆原稿の写真だ。草稿研究から作品の生成過程を辿る学問を紹介する記事だった。

ガビーンというショックだった。私は何をしてきたのだろう。20歳までに死ぬ筈だったので20歳以後のことは実際何のプランも見通しも昔から無かった。ずるずると刹那的に方向性も無くただ馬齢を重ねてきた。おまけに薬物依存だ。いつも半分死にかけている。フランス語の勉強も、時々思い出したようにしかしていない。およそ10数年の間に、月とスッポンとはこのことだ。せめて「月と六ペンス」くらいになりたい。いつまでこの気持ちが続くかわからないけれど、とにかくフランス語の学習を少しだけでも1から再スタートさせよう。突然そう思う。そう思わなければ、逃げられないほどのショックだった。

帰りに梅田に出て旭屋書店に行く。参考書、参考書と書棚を眺めて、一瞬わが目を疑った。手にしたのは彼の書いた参考書だったからだ!!さらに強いショックを受けて、今度は新たに私にとっては4冊目の仏和辞典を探しに少し移動した。いままで、ロクな仏和辞典に当たったためしがない。今度こそいい辞書に出会いたい。辞書と相性が合わなければ、引く気にさえならない。

帰ってから辞書を開けて取り出してみる。しっくり手に馴染む。引きやすい。これならいける。その時、普段めったに見ない編集委員の名前に目がいった。そして至福のノックアウトパンチをもらう。心臓がドキドキした。彼の名前がその中にあったからだ。

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Charles TRENET  「L'ame des poetes」

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