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「誰だかわかる?」

「誰だかわかる?」 2004年12月20日 (Mon) 21:17:52

ガラガラと戸が開いたので、出て行くとその人が立っていた。少し微笑んでいる。
「誰かわかる?」
「それより、よくこの家覚えてたね。針君でしょ。どうぞあがって」
「今、市役所に行って中山に会ってきたんだ」

「お母さん亡くなったって聞いたよ」
「ちょっと待って。今ジュースでも出すので」・・
「僕、何も飲めない」
「じゃ、何か食べる?」
「僕食べられない」「何故?」
「僕の顔、よく見て。昔と違ってるだろう?」
「同じよ」
「僕、顔、半分復元してるんだ」
「どういうこと?」
目の後ろに癌ができて、小脳の一部を含め、その辺りを切り取ったのだと言う。
「目も義眼なんだ」「ええっ!!」
「顔の左右のバランスもとれてない筈だ」「食べ物は全部、すり潰してしか。飲み物も飲み込めないんだ」ヤメテヤメテヤメテ!

最後に会ったのは・・17,8年前。SSとのドライブのついでに針君の職場(富田林市役所)に立ち寄った。あの時結婚式の2日前に式をドタキャンされたと嘆いていた。
「波乱万丈の人生だよ、僕の人生は」そう言った。
「それは単にフラれただけ。自分の生活の基盤が揺らぐような冒険がないと、波乱万丈とは言わない」私はそう言った。

「後、半年もしたら、バランスも記憶力も、もっともっと悪くなっていくんだ。今のうちにと思って来た」・・

高2、高3の同級生だ。彼の席は私の斜め後ろで、仲の良い4人グループの一人だった。
大学を出て、一度は洗車機メーカーに就職した。仕事が向かないのですぐに止めて、来年公務員試験を受けるつもりだといって一度、自転車で家に来たことがあった。大学1年のとき、親戚がいるというので、米国留学もしていた。帰国してカッコ良くなって、病気でへたり込んでる私のところに来た。
山(葛城山)に連れ出してくれた。フォークフーテナニーにも。最後に二人でステイジに上がって「♪友よ、夜明け前の、闇の中で、友よ、戦いの炎を燃やせ・・♪」と肩を組んで大声で歌った。ボーリングを教えてくれたのも彼だった。当時私は万博で貯金を使い果たし、いつもポケットは空だった。貧しい身なりで出て行ったら、アルバイトで得たお金で、洋服をワンセット買ってくれた。その店で着替えて、古い服はその場で捨てた。
私が詩や小説ばかりを書いている頃、彼は初ボーナスを頭金に、新車を買って初ドライブにも誘ってくれた。「ここは香落渓っていう紅葉の名所なんだよ」・・・

針君、何故彼が、よりによって、こんな目に遭わなければならないんだろう。発病は家を買った直後だったらしい。勿論妻子もいる。
改札まで見送っていった。
「このごろパーティはしないのかい?」
「針君のためのパーティしようか」
「連絡楽しみに待ってるよ」笑顔で手を振って階段を下りていった。
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「Quand la Charlotte prie Notre-Dame」
  シャルロットのクリスマス by Marie DUBAS

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