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Hal Aviation

Hal Aviation 2005年1月19日 (Wed) 18:00:42

事故以来Xavierは学校に来ない。ショックで鍵をかけて部屋に閉じ籠もっている。「Bruxelles、Xavierを引っ張り出して来ておくれ」とPeterに頼まれた。幸いXavierに怪我はなかったが飛行機の脚が折れてプロペラも損傷した。賠償はどうなるんだろう。寮のドア付近の張り紙を見ると、任意の保険を呼びかけている。

Xavierの部屋をノックする。返事がない。居るのはわかっているのでさらにノックする。するとドアが内から開いた。ゲッソリよれよれのXavierが居た。
「Xavier、そろそろ飛ばないと、次に進めないよ」
「わかってる」
「賠償がどっさりきたの?」
「イイヤ、学校が全部保険でカバーしてくれることになってる」
「よかったね」話を聞くとXavierのお父さんは弁護士で、バスクの裕福な家庭の子らしい。けれど、余分にお金があるわけではない。プロになればスペインに戻らず、そのまま南米に渡り、貨物の空輸の仕事をするつもりで旅立ってきたのだ。イギリス人のPeterがケニアやインド、香港等で自由に冒険の日々を送ってきたように、スペイン人のXavierには広大な南米がある。(そういう感覚はどんなだろうと時々思う。昔の日本人が満州に行く、そんな感じなのだろうか?)

学校の寮は一軒のアメリカの邸宅だった。周りを木々に囲まれた三階建てで、裏庭には当然のことのようにプールがある。プールの管理も行き届いていて水も清潔で夜間には照明もつく。誰も居ない夜、そのプールを独り占めして水着を着て泳いだことがある。満月がとても明るい。以前も夜に屋外のプールで泳いだことを思い出した。フランスからの帰途タイに立ち寄り、バンコックのホテルのプールで、あの時は下着のまま泳いだ。

一度大きな浮き輪に乗ってプールの中で本を読んでいるPeterを見た。ここはアメリカだけれど、それはイギリス人しか醸し出せない悠然さだった。大英帝国、腐っても鯛。国の歴史はこうして個人の振る舞いの中に実は生きている。ここは所詮様々な事情で祖国では生きていけなくなった貧困の民がメイフラワー号で渡ってきて開拓した、せいぜい200年の新興国に過ぎない。原爆で叩きのめされた日本人にとってのアメリカとPeterの感じるアメリカはおそらく全く違う筈だ。

昨日トリニダード・トバゴ人が入校した。その前はおしゃれな初老のフランス人紳士が、さらにその前はドイツ人の化学の教師が、・・。ここはアメリカなのにstudentsの中にアメリカ人は、初日の夜ピツァを食べていた金髪のアメリカ坊や一人だけだ。マイアミの飛行学校から、あそこは生活費が高いからと転校してきたギリシャ人のビジネスマンもいる。寮にはスイス人、香港人、が各一名、イギリス人が四名、私がビューイックをシェアーしているのはイギリスで教育を受けたナイジェリア人のジョン。他の人達は「ロックフォドの事件メモ」のロックフォード父・息子が暮らしていたようなトレーラーハウスにいるらしい。学校はトレーラーハウスを何台も所有している。私は会っていないが学科の教官はドイツ人の女性らしい。校長もドイツ人。教頭はヨーロッパ人風のアメリカ人。事務局長のSallyはイギリス女性だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「Bruxelles有難う。僕明日から飛行機に乗るよ。いつまでもベッドの中で怯えているような余裕はないんだ」着陸時に突風が吹いたのだ。誰にでも起こりえる。「乗り越えないと、そこで止まってしまう」
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「Je ne sais pas」 Jacques BREL

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