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素人賭博

素人賭博 2005年2月4日 (Fri) 18:22:11

中村さんに呼ばれた。荷崩れのクレイムだ。写真を付してあちら側に保険の請求をしてもらう。タイプは後輩の清水さんが打つようになった。訳文を手渡したとき、いつもはコメディアンの清水さんが真剣な顔で手招きした。
「Bruxellesちゃん、ちょっと言ってやって。最近典ちゃん(上田さん)毎日帰りに新地の喫茶店に立ち寄って、バクチばっかりしてるのよ。私がいくら言っても、言うこと聞かない。何とかしないと・・」
「わかった」そのまま、W法律事務所に向かった。

「典ちゃんちょっと」上田さんを法律事務所の応接間に招いた。
「ああBruxellesちゃん、久しぶり。どうしたの、何か用?」
「このごろバクチしてるらしいね」
「そんなん、してない。何も、してない」しどろもどろだ。
「摘発されたら、どうなるかわかってるよね」
二人ともまだ立ったままだ。距離を詰めてまっすぐに顔を見た。少し間がある。
「私のお金で、私がどう遊ぼうと、そんなの勝手でしょう。Bruxellesちゃんに、とやかく言われることはないわ」
「ここが法律事務所で、W先生は日弁連の会長、・・、典ちゃんはどうなってもいいけど・・」
「説教やったら、帰って!」そう言って上田さんは身構えた。

彼女は油絵を習っていた。新地の現代画廊でそのグループ展があった時、私も立ち寄りそこでふざけてボクシングの真似事をしたことがある。私の右ストレートが彼女の手首に当たって高級腕時計を壊した。一言の文句も彼女は言わなかった。あの時のことを彼女は覚えている筈だ。だから身構えた。

それでは期待に応えよう。
パッシーン。勿論平手だ。パンチではない。しかし彼女は吹っ飛んだ。吹っ飛んで思い切りドアで頭を打って、バランスを崩して倒れた。物凄い音がした。正直びっくりした。なまじ運動神経がいいので、避けようとして自分で吹っ飛んだのだと思う。反撃を予想して今度は私がファイティングポーズをとった。

上田さんはノロノロと立ち上がり、ソファーにゆっくりと座ってうなだれた。
「大丈夫?」
「Bruxellesちゃん、実は私も、前々から止めよう止めようと毎日思っていた。でもね、習慣になって、ズルズルと・・。踏ん切りがつかなかった。・・でもこの痛さで吹っ切れた。Bruxellesちゃん、わかった、もう、きっぱり止める」
物凄くあっさり成功して、とても嬉しかった。笑いがこみ上げてきたので、黙ってドアに向かった。出て行こうとすると上田さんの声が私を追ってきた。
「Bruxellesちゃん、ありがとう」「Bruxellesちゃん、手ぇ、いたかった?」
涙が出そうになった。くるりと振り向いて言った。
「思いっきりひっぱたいて、物凄い快感、クックックックッ」

そのまま大江貿易の事務所に戻った。そして清水さんを手招きして小声で言った。
「典ちゃん、もう、きっぱり止めるって」
「ウソォー。さすがBruxellesちゃん。一体どんな話をして、説得したの?」
「何の話もしていない。殴っただけ」
「ええっ、、!!」
「クックックックックッ。典ちゃん血まみれになって倒れてるから、見てきてごらん」
「エエッ、ウソォー!!」
顔を引きつらせて、目をむいて、重い体重の清水さんがW法律事務所に向かってドタバタと駆けていった。

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「Mississippi River」 par Nicolas PEYRAC

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