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稲垣足穂

稲垣足穂 2005年4月17日 (Sun) 17:55:39

クリーナーでガーガー掃除をしていると、電話が鳴った。「もしもし」でたいてい声を聞き分ける自信があるのだが、思い出せない。
「『海とユリ』でご一緒だった札幌の青木です。Bruxellesさんご本人ですか?『現代詩手帖』の年鑑でご住所を見て、懐かしくて電話しました。一度お目にかかったことがあります」
覚えている。大和留寿都で山頂から転げ落ちたとき、帰りに札幌でお目にかかった。すぐ後手紙が来て神田神保町界隈の少年たちが、Bruxellesさんのことを、B姫と書いているので、どんなお姫様かと思ったら、会ってみたら、姫様のイメージなどない・・」と、かなりボロクソに書いてあった。よほど悪い印象を与えたに違いないと苦笑した思い出が残っている。そのことを言うと「僕そんなこと書きましたか?B姫と書いたのは覚えていますが」とちょっとドギマギされている。「あの時、札幌で踊る場所がないかと、聞かれたのは覚えています」
上から下まで転落して全身打撲だから、まさか「踊りたい」と思う筈は無いのだけれど、なにしろ30年程前のことだから双方とも記憶はあやしい。
「僕は実は古物商もしてまして『海とユリ』創刊号に芦野さんが書かれていた稲垣足穂の写真、のことで芦野さんに連絡したのですが電話が不通なんです。もう亡くなられましたか?」「いいえ、いいえ。ここ数年手術や入院を繰り返されて、体調は思わしくないようですが」「種村季弘さんが亡くなられたものだから、ふといやな予感がしましてね」・・・

『海とユリ』創刊号を引っ張り出してみる。青木氏は瀧口修造亭や種村季弘宅に出入りしている方のようだ。種村季弘邸は禅宗のお墓の裏にあるらしい。種村氏が荻窪に「画廊人魚館」をオープンしたと書いてある。

あの頃、つまり創刊時、バイクに熱中されていた芦野氏はツーリングを兼ねて、足穂を訪問されたのは私もよく知っている。今、創刊号を見て、驚いた。創刊号表紙絵・稲垣足穂とある。おまけに扉には、足穂自筆の説明文まである。「これはボクにはアッという間に過ぎた明治風景です」と。灯台の絵だ。古物商の青木さんが足穂の写真と言われたのは、この絵の間違いか。いずれにせよ、古物商の食指が動く筈だ。

病床の芦野氏のことに思いがゆく。昔上京した折は、神保町の五十嵐ビルに、いつも立ち寄って、そのオフィスを自分のkey baseのようにさせてもらっていた。話さなくてもすっとわかりあえる。そして話せば、誠実さが滲み出る話し方をされる。もっと前「抒情文芸」に「絵巻物」という小説を発表されていて、Bruxellesはその作品にすごく惹かれた。私はまだ20歳にもなっていなかった。私が会う前に京都の瀬崎祐氏が先に芦野氏に会った。「どんな人だった?」「黒川紀章みたいな、というか」「ふーうん」
芦野氏は当時詩誌「秘夢」というグループのリーダーだった。芦野氏には他のペンネイムもあって、少年少女向けとは別に「薔薇族」「アドニス」「ムルム」その他にも発表されていた。五十嵐ビルには、感性の柔らかいまだ子供のランボーやベルレーヌが出入りしていた。今から思えば、三島由紀夫の「禁色」の一場面の様だったかもしれない。「海とユリ」の創刊で初めて同じグラウンドに立ったのは、それよりかなり後だ。あれは本当に必然だった。そこには原田さんもいたし、一時はGribouilleもいた。

創刊号に稲垣足穂の当時の近況が出ている。「火災のため、しばらく桃山町本多上野の知人宅におられたが、10月9日新宅の棟上を行い、年末には完成の予定。最近刊行の短編集「青い箱と紅い骸骨」(角川書店)にはカラー印刷で四葉の絵を収蔵している」とある。ということは、他にも原画があるということなのだろう。
去年「海とユリ」が神田の古書店で2.5倍の価格がついていると聞いた。このことが原因なのだろうか。
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「Place Vendome」 par Christine AUTHIER


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