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夏別荘物語(プロローグ)

夏別荘物語(プロローグ) 2004年10月11日 (Mon) 16:40:33

大トロを手でつまんで口を開けて放り込もうとした瞬間、ドアをガチャガチャする音で起こされた。誰が侵入しようとしているのかという不安もあったけれど、食べ損ねた大トロ握りの方に未練が残る。
掃除係の人が勝手に入ってくる。
「この部屋には人がいますよ」ムッとして声を出す。もうちょっと遠慮してくれたら、大トロが食べられたのに。
「ほかの人たちはどうしました?」
「早朝出かけられましたよ。全員かと思った」
ツアーの人は全員グランドキャニオンに行ったのだ。
一人寝坊してしまった。

自由時間だ。サンフランシスコ大学で日本文学を教えているKKに電話してみよう。交換の真似をする。
「もしもし。日本からのお電話です。お繋ぎします」
「ハロー」とKKの声。
「KK貴方のお友達です。誰だかわかる?」
「日本人よね。全くわからない。お願い、名乗って」
「ヒントはね、Gribouilleのお友達。Guess who,guess who・・」
「ゲスゲスって、下種の勘繰りじゃあるまいに、推量できないわよ!」
クックックッ、さすがにKK,切り返しが鋭い。脱帽。笑ったのでわかったらしい。
「ああっ、Bruxellesちゃんね」
「実は今、サンフランシスコに来てる」
「あれっ、日本からの電話じゃなかった?これ?」
「なかった」
「僕、手を離せないから、新ちゃんの車で、迎えに行かせるわ。今ホテル?どこの?」

1時間半後にその新ちゃんが白のオープンカーでお迎えに。「はじめまして」細身でひげを蓄え、白いファッションに身を包んだシブイ人なので驚いた。新ちゃんは丸井のローンでアップアップしてる。以前そんな話を聞いた事がある。築地の板前を止めて、KKを追ってここまで来て、こちらのスシバーで働いている。思い切った恋の転職が、この人の人生を好転させたのだろう。

KKはご機嫌で迎えてくれた。話は当然去年の河口湖の別荘の話。KKの友人の堀田さんの別荘。登場人物は、堀田さん、KK、東さん(カンボジア大使御令嬢)、そして私。
堀田さんと東さんの痴話喧嘩が、大トラブルに発展、東さんは裸足で別荘を飛び出し、走る走る走る。堀田さん、KK,私がドタバタと後を追う。
やっと追いついたら、東さんが湖のそばにしゃがんで号泣している。3人ひとしきり途方にくれた後、堀田さんがなだめにかかる。
KKはそっと私に近づいて、そしていきなり歌いだした。

  ♪ 山の寂しい湖に、一人来たのも 悲しいさだめ
    胸の痛みに 耐えかねて・・ (湖畔の宿) ♪
「いつまで歌うの?」という風に顔を覗き込んだ私に、さほど小さくない声でKKが言い放った。
「僕が東さんだったら、このシチュエイションで裸足で号泣したりしないで、こういう風に歌うんだけどね」そしてウインク。

そのウインクが私の琴線に触れた。ガビーン。こんな楽しい人と一緒だったら、遅かれ早かれ私もとことん羽目をはずすかも知れない。あっけにとられて、声も出ないので、顔だけで大笑いした。
KKはヒロインになりきって、また続きを歌っている。

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「COMME AU THEATRE」    Cora Vaucaire


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