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飾り窓の女

飾り窓の女 2005年7月5日 (Tue) 19:29:43

プレーボーイクラブでバニーガールを身近に見てギクッとしたと日記に書いた。実は以前もっと心臓が止まるかと思うほど目で見てショックを受けた光景があったことを思い出した。存在の底にボディーブローを受けるような衝撃で一瞬震えて立ち尽くした。宇宙人を見てもあれほど驚かないだろう。

切符を買ったのは1週間前だった。往復17万円ほどで当時は格安だった。目的のParisまでいかない。Bruxelles止まりだ。しかも南回り、乗り換えに継ぐ乗換えで、30数時間もかかる。うっかり眠ることもできない。食事もむちゃくちゃになる。エアーサイアム、タイ航空で出発。途中ロイヤルヨルダン航空に乗り換えて、、。下を見ると砂漠、砂漠、地球のイメージが簡単にくつがえる。バーレーンやサウジでも機外に出た。ジュネーブでも。
Bruxellesに着いてから列車に乗り換えて都市部に到着。とりあえずユースを探そうとガラガラ荷物を引きずって街を歩いた。広い通りを横切り、坂を少し登り左に曲がったその時だった。一瞬にして目が合ったのだ。でもそれは人間の眼ではなかった。デパートのショーウインドーのようなものの中に人が半裸身で、下着だけの姿で、陳列されていたのだ。人形と思ったものが動いたからだろうか。一体何に衝撃を受けたのだろう。その人からは人間のあらゆる感情が剥奪されていた。人間であって、人間ではない、商品だった。ケイスは幅1m50cm奥行きは70cm位だろうか。その人は奥に入ってしまった。隣のケイスにも下着姿の人形がいた。人間の匂いは一切無かった。何かものすごいものを自分自身で殺している、かといってドラマ性など一切無い。幽霊、そう幽霊を見たと表現すれば、一番近いかもしれない。援助交際などと、綿菓子で包んだようなフニャフニャした日常性からほど遠い。Bruxellesにはまだこんな一角があるのか、政府公認なのだろうか。

Parisで日本人の男の子に話を聞いた。その子はアムステルダムの一角で、女を買ったという。まずガラス越しに値段の交渉をする。その後裏から入るそうだ。実物を見て本人と交渉するのだから、当たりはずれが無く明朗会計らしい。しかしあの幽霊を抱く気になれるものなのだろうか。だとしたら、男の性はあまりに哀しい。(大きなお世話?)
私はL'aigle Noir JPのサイトで邦画NO.1に「吉原炎上」を選んでいる。あの映画を仮に事実とすれば、吉原の女達はむき出しの感情で人間性を忘却することなく、同じ悲運の中を生きている。この違いは一体何なんだろう。

阿倍野筋に阿倍野銀座と呼ばれる通りがある。その奥に直ちゃんの家がある。一度夜二人で奥へ奥へと歩いてみた。昔の遊郭の跡らしい。それらしい建物がある。玄関を覗くと、和装の下着をつけた女の子が並んでこちらを向いて座っている。やり手ババアが玄関先に立っている。”跡”と思ったのは間違いらしい。人通りはほとんど無いがタクシーが一台だけその中の一軒の前に止まり、客が中に消えて言った。人通りはめったに無いのに、各々の玄関には、下着姿の女の子が鎮座し続けている。そして一帯は暗いのに、そこだけ明かりが灯っている。二人して異空間を黙々と歩いた。
日本にもあるのだ。取り締まろうと、放任しようと、公認であろうと非公認であろうと、古代より需要がある限り、世界中から消えることは無いのだろう。
阿倍野筋の裏側、そう言えば、黒岩重悟の小説によく出てきた。作家自身も昔この辺で暮らしていたことがある。そう、占い師をしていたそうだ。

強いショックを受けたせいか、完全に道に迷ってしまった。タクシーを拾って、安ホテルを紹介してくれるように言った。歴史のありそうな健全なボロホテルに案内してくれた。客筋はよかった。ただエレベーターが2重扉でおまけに手動だった。子供のとき市大病院に入院して手動のエレベーターで遊んでいたのでビビルことなく上手に操作が出来た。
戦前父方の唯一の親戚であった、心斎橋の石原のビルにも、2重扉の手動のエレベーターがあったらしい。
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Didier Barbelivien 「A Barbara」名曲名唱である。

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