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天性のリズム感

ヴァンセンヌの森の入り口付近に高級住宅街がありその前に公園があった。そこでカメルーン人のPaulと、イラン人のABDIと日本人の私の三人でボール遊びをしたことがあった。
そのときのPaulの動きに私は目を見張った。豹のような敏捷さ、身体全体から楽譜があたかも躍り出ているようなリズム感。人間のイメージを超えていると思った。
もし同じ条件で、黒人がトレーニングを積んでオリンピックに出たら、黒人がすべての金メダルをとるだろう、と言う言葉を聞いたことがある。それを実感した。
ある種の音楽もそうだ。ソウル、ジャズ、ブルース。彼らには天性の素晴らしい資質がある。血の中の歴史。

少し前の日記に登場する谷田君。かれはブルースが好きで「ブルースは背中の瘤みたいなものだ」と以前に言った。何のことかよくわからなかった。彼の影響でせっせとブルースを聴いた時期もあったが、やはり私には、肉体の奥まで入ってこない。でも「ブルースを聞く女」ってカッコいいだろうなって思ったりもした。

私がミズリー州のHal AviationでPILOTのTrainingを受けているとき、以前NEW YORKで知り合ったMR.BROWNが飛行機に乗って私に会いに来た。HOTELの部屋で食事をしたが、久しぶりなのでどんな話をしていいかよくわからない。間を持たせるために彼が持参したカセットテイプをデッキに入れた。ブルースだった。
食事をしながら、微笑みながらブルースを一緒に聞いた。聞いているうちにいたたまれなくなった。黒人の流した涙が、私の身体に注がれてくるのだ。それは、まるで悲しみの塊だった。食事が喉を通らなくなるほどの。背中の瘤であろうと、何であろうと、ブルースは日本で聞くものだ、黒人と一緒にブルースを聞くと、耐え切れなくなってしまうものだとその時初めて思った。あれは一体何だったのだろう、何なのだろう?
「バカンスの行き先をたまたまここにしただけだから、ここに会いにきたことを君が負担に感じることはないんだよ」MR.BROWNは気を使ってそう言ってくれたのだけど、私の心には「黒人と一緒にブルースを聞いてはいけない」と言う教訓を残しただけのひと時になってしまった。
私は2度とMr.Brownとは会わなかった。「もう帰る」とTELがかかってきたときも、見送りにさへ行かなかった。さすがの温厚な彼も、怒り心頭に達して「Son of a bitch」と電話の向こうで叫んだ。
飛行学校の事務所の人が吃驚してこっちを見た。私は苦笑いをして溜息をついた。「I am sorry」
「I am sorry だって。そんな言葉は今までさんざん聞いてきたさ。もう聞きたくない言葉だ」怒りに満ちた声が私の耳に届いた。
どうしようもない。女に対しても「Daughter of a bitch」とはいわないのだと、妙な事にだけ、気をとられた。

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Andre Claveau 「Mon coeur est un violon」

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